チームの発想

2002年から2003年にかけて、スタンフォード大、Learning Design Technology Programで修士号を取った後に、その時の体験を振り返りながら近況報告をかけて、学んだこと感じたことを共有するためにブログをはじめました。6年間休んだ後、再開です。:)

Thursday, November 29, 2012

Week 4 - Las Vegas 出張

Autodeskに入社して4週め、Las Vegasで行われたAutodesk Universityというconferenceに参加しました。Conferenceのセッションには残念ながら参加することは出来なかったのですが、3日間様々なリサーチセッションを同僚と共に行いました。

英語で get one's feet wet というイディオムがありますよね。リスクを取って新しいことにトライするという意味ですが、今回の私のLas Vegasでの仕事はまさにそれ。入社2週目に一つのリサーチトピックを任されて、業界、製品、ユーザーの理解が未だ限られているとはいえ、ユーザーリ サーチの土台はあるので何とかなる気はしていました。逆に、思い切ってトライしたおかげで、入社4週めにして既に業界知識をぐんぐん吸収しているのはラッ キー。仕事の内容やテクノロジーの活用法について、ユーザーの話を聞き、彼らの行動を直に観察出来たのはユーザーを理解する上で効率的です。今回はSenior Researcherとして入社しているので、仕事のスピードを上げるまでに時間はかけたくない。そんな訳で、入社、出張、リサーチプロジェクトのタイミ ングはすごくよかったと思っています。

Autodeskでは入社日のオリエンテーションの始めに、会社のギャラリーのツアーが組み込まれています。ギャラリーにはAutodeskのユーザーが作ったもの、そのプロセスが理解出来る展示があります。現在上海で建設中の完成時には世界一となるビルの模型、Nikeのシューズのデザインプロセス、映画Avatarのメイキングビデオ、レゴで作った恐竜などが見られます。入社日にそうした展示を見て、この会社の面白さを実感したのですが、Autodesk University開催中のExhibit hallやユーザーと話をした中で、それを改めて実感しました。

リサーチセッションには日頃直接話をすることの少ない重役達が我々のリサーチに現れることがあります。それから、ユーザーを観察中にCEOに偶然会って、 「入社4週目でAutodesk Universityに来ていて、こんなリサーチしてます」とささっと自己紹介。みんな気さくで我々の仕事に興味を示してくれるのも励みになります。

Conferenceに参加する際のもう一つ重要なことは社内の人とのネットワーキング。特に入社したばかりでこういう機会を利用できるのは幸運です。前の会社はアメリカで初めての会社でネットワーキングがあまり上手くありませんでした。私は外交的な面と内向的な面のハイブリッドで、意識してお友達作りしないと、アメリカでは周りの人には気づいてもらえません。そんな訳で今の会社ではすごく意識してお友達作り。パーティや食事、同じ部屋にいる人の中で話したことのない人がいたら "I haven't met you yet. I am Chika Ando. I am a user researcher, working with Julie."とか言って、どんどん自分から自己紹介。昨夜は、食後に皆でバーに行き、別の部署の人に交わったので、ほとんどが初対面。前の仕事で実は競合他社にいたとか、バイクの話、ブラジルの音楽など、話が盛り上がりました。その中にはイスラエル、インド、スウェーデン、スイスから来ている人もいて、彼らの製品をiPhone上で見せてもらったり。それから日本へ休暇で戻る際に一緒に仕事ができるように、東京オフィスの方ともご縁を作ることも達成。次に日本に戻るのも楽しみです。

ホテルには寝に帰るだけで、朝8時に部屋を出て戻るのが真夜中過ぎというのを3日間続けて、帰りのフライトではぐっすりpower napしました。

Friday, November 23, 2012

Thanksgiving 2012

今年のサンクスギビングの週は、アメリカに来てからの10年間を振り返り、そして新しいことを発想するための1週間でした。一ヶ月程前にのゆりさんが、「サンフランシスコに行こうと思ってるのだけど。。。」とメールを下さったので、「うちに泊まります?」と気軽に誘いました。これはアメリカでは普通のこと。

のゆりさんとは10年前に、私が留学準備中にMITを見学に訪れた際に偶然すれ違って、その時は「あっ日本人だ。。。」と思いつつ挨拶もせず。日本に帰国して、2ヶ月後、縁あって留学先選択のアドバイスを頂くことになり、渋谷で再開したのが2002年の3月。それでMITですれ違っていたことにお互い気付きました。スタンフォード大のLearning Design and Technology プログラムに進学し、卒業して、その後、時々近況報告をメールしていましたが、今回のようにじっくりお話したことはなかったように思います。あっと言う間に10年が過ぎ、この夏に私が北海道を旅行した際に、みらい大を初めて訪れたり、その際、私の翻訳本を使っている授業に偶然参加したりというご縁もありました。

今回、のゆりさんと4日間過ごして、アメリカに来て10年の経験、学びを書き留めなかったのは少し惜しかったと気付かされたので、ブログ再開します。

タイトルの「チームの発想」は、のゆりさんの案です。いろいろ考えると私の今のライフスタイルを上手く表しているように思えます。ユーザーリサーチャーとしての土台を気付いたAdobeの仕事で一番よい思い出はチームの仲間と共有した成功体験、そして現在働いているAutodeskもチームの雰囲気のよさが転職を決める決断になりました。そしてスタンフォードでの体験も、サンフランシスコのダンスコミュニティでの体験もしっくりきます。

サンクスギビングは、自分の生活、友人や家族、あらゆることを振り返り感謝する機会です。今回は、のゆりさんの訪問がきっかけとなり振り返ったこと考えたことは日本とアメリカの文化両方に渡り、友人宅の訪問で新しい出会いもあり、アメリカ10周年に相応しかったように感じます。

まずは、転職活動中に考えたことや、Adobeを去る前の最後の数日間のことや、新しい仕事を初めての3週間について書いていきます。

P.S. Adobeでの仕事で今でも一番の自信になっているのはPremiere Proに関わったこと。以下はユーザーが製品を使ってコメントをしているマーケティング用のビデオですが、これはユーザーの正直なコメント。編集はしているけれど準備された原稿を読んだものではありません。製品を使ったユーザーが"You made my life better."とか言うのを聞くと本当に鳥肌がたちます。ユーザーリサーチャーとしてこれこそ私の履歴書に添付したいと思う。もちろん、この背後には多くのエンジニア等、数えきれない人の仕事があるわけですが、自分の専門を活かし、チームの一員として貢献したことは誇りです。実際に成果が市場に現れるまで2年かかりましたが、そうしたeffortの第一歩を切り開いたのが我ら3人(私とデザイナー、私の上司)の仕事でした。
http://www.adobe.com/products/premiere.html#nerolimedia_split_pp-chilipeppers_708x398-1300.mp4