チームの発想

2002年から2003年にかけて、スタンフォード大、Learning Design Technology Programで修士号を取った後に、その時の体験を振り返りながら近況報告をかけて、学んだこと感じたことを共有するためにブログをはじめました。6年間休んだ後、再開です。:)

Sunday, February 17, 2013

Techshop

こんにちは。Techshopってご存知ですか?Techshopのメンバーシップがうちの会社の福利厚生の一部で、年間メンバーシップを無料でもらえます。私の会社はもの作りのためのソフトウェアを作る会社ですから、社員にユーザーの気持ちを分かって仕事をして欲しいという計らいかなと思います。

Techshopについてはこちらをどうぞ。

1月にメンバーになり、早速いくつかクラスをとっています。今のところ、興味があるのはレーザーカッター。木、アクリル、チョコレート、ゴム、ガラスを彫ったり、切ったり、いろいろなことが出来ます。犬のタグ、ゴムのスタンプ、工作用に山折、谷折りの印を付けた画用紙を準備することも出来るし、ガラスに自分の好きなイラストを彫ってオーナメントを作ったり、家の表札なども作れます。

いろいろ作業したり、アイデアを練りながら思ったこと。そもそも私が留学前に考えていた留学の目的や興味というのは、creativityとか遊びやもの作りを通しての学びだったのですが、そういうこと忘れてました。今の仕事は、ビルを建てたり、工業デザイナー向けのソフトウェア、クラウドサービスのエクスペリエンスデザインリサーチで、それはそれで面白いんです。その一方で、Techshopでもの作りしながら、原点に戻っている様な、未来を想像しているような気がしています。リケジョの本をめくりましたが3章に、未来を想像するというのがありました。:)

Instructablesというウェブサイト、ご存知ですか?MIT Media Labを卒業した人たちが起こした会社で、現在はうちの会社の一部。もの作り、学び、オンラインコミュニティ、私の興味がある分野ですので、何かご縁があるかもしれないなと思ってます。

話変わりますが、11月にご案内したAutodesk Galleryの社員ボランティアツアーガイドになるために、勉強中です。:)

それではまた。





Wednesday, January 09, 2013

チーム内での役割

あけましておめでとうございます。元旦の朝は早起きして初日の出を拝み、2013年、快調な滑り出しかと思われましたが、うちの犬が2日に、私が3日に体調を壊して、2人して数日間お粥を食べていました。:(

アメリカの会社は、2日が仕事始め。私の勤める会社は、クリスマスイブから元旦までお休みなので、しっかり充電出来ましたが、普段の生活パターンに戻れるのか少し不安でした。体調を壊して自宅からスローペースで仕事初めして、今週から通勤。会社に戻ってみると、スムーズに頭の回転をトップスピードに戻せた感じ。よいお仕事、仲間に感謝している毎日です。

以前の仕事で、motivationが下がっていた時期というのは、仕事にやる気も起きなければ、頂くお仕事に感謝する気持ちも忘れて、完全にマイナスのループにはまっていました。どんな小さなことであれ、頂くお仕事に感謝することを忘れてはいけないと今更ながら改めて自分に言い聞かせております。また、それが出来なくなったら潮時なのかもしれません。そのループから抜け出すのに、私の場合、機会があったので、環境を変えるという選択をしたのでした。

以前の会社では、ある時期4年間、同じ上司、仲間とチームで仕事をしたことがあります。そのチームでは才能、経験のある仲間に恵まれ、本当に多くのことを学び、センスを磨くことも出来、幸運でしたが、リーダーになる、自分から物事を起こすという機会が少なかったように感じます。現在のチームでは、皆がピアである感じ。そして、新しくチームに加わった私は、外部から新鮮な視点、経験や方法をチームに持ち込み、それを共有し、手を挙げてグループを動かすチャンスにも恵まれています。と、実は今日気付きました。:)

もともと、自分からチームを動かすタイプではないのです。supportive roleにいた方が、自分の能力をより発揮できるタイプだと思っています。けれども、同じ仕事を10年近く続け、Senior Researcherというポジションとなれば、周りを巻き込んで自分から物事を進めていくことも期待されているのだと今更ながら気付き、ついうっかり小さなleadership roleを引き受けてみると、意外と楽しいことにも気付きました。:)

それから、私が以前の会社で、先輩から学んだことを現在の仲間と共有し、共に行動しながら、自分の経験、知識、学びをreflectionしています。転職活動中に自分の過去の仕事についてプレゼンテーションをしたので、経験を振り返る機会はありました。しかし、知識をrepurposeして実感するreflectionとは感じる手応えが全く違いますね。ただ振り返るだけでなく、知識をtransferしつつ、新たな知識を新しい環境で産み出すのは、楽しいしわくわくしている今日この頃です。こうなると、睡眠時間減り気味になるので、少し気をつけないと。。。 それでは。

Saturday, December 15, 2012

Holiday party

会社のコンファレンスから戻ってきて2週間程、データの分析に集中していた最中、10年前にスタンフォードの学生だった時にインターンでお世話になった先生(Renate)とのディナーを木曜日に、そして今日、金曜日はホリデーパーティに出かけて、刺激を受けて帰ってきました。それから、会社の同僚、彼はデザイナーでリサーチャーではないのですが、非常に面白いリサーチのアイデアを閃いてプロジェクトを始めようとしているので、彼の準備を手伝ったり等、週後半になって面白いことがいくつかありました。

昨日のインターン時代にお世話になったRenateとのディナーについて。私はCivil Engineering DepartmentのProject based Learningのクラスをサポートするのがインターンプロジェクトでした。現在の会社、AutodeskはCivil Engineeringの世界ではなくてはならないソフトウェアを提供しているので、私が縁あってAutodeskで働き始めることになった際には、Renateに近況報告をしました。Renateはhard-worker, creative, forward-lookingで、尊敬すべき点が多く、一緒に仕事をすることで自分が伸びること、現在の仕事にプラスになることは明らかなので、彼女とまた一緒にリサーチが出来たらなあと思っていました。昨日は、9年分のcatch upのためのディナーでしたが、本当に楽しく、年明けに早速リサーチのアイデアの交換など始める予定です。

今日は、Lean UXで非常に注目を集めている会社のホリデーパーティでした。今年の初めからLean Startup、Lean UXについて本を読んだり調べたり、実際にそのメソッドを仕事で使う機会もあり、いくつかの理由でご縁があったら会ってみたいなと思っていた方々に会うことが出来ました。8月頃から会ってみたいなとぼんやり思っていたのですが、なぜ会ってみたかったのか実は忘れていて。:) で、パーティで話している間に思い出したのですが、きっかけはみらい大で7月に私の翻訳本について話をしたことでした。本当に偶然、翻訳した本を使っているクラスが私が訪問した日に重なって、10分程学生さんに私のユーザーエクスペリエンスリサーチャーとしての仕事の話をしました。その時、私は英語でも日本語でもユーザーエクスペリエンスの仕事が出来るのに、そのスキルを使っていないと気付かされて。それから、私のbilingual, bi-culturalのユーザーリサーチスキルを必要としている人はいないかと考え始めていたのでした。

そのために何かプランがあるわけではないのですが、今日のホリデーパーティでの出会いがもしかしたら何かのきっかけになるかもしれません。今日の日記はなんだかとりとめないですが、今週の出来事が来年いくつか実になりそうな気もするので書き留めておきます。

P.S. Roombaを先週から使い始めて、その便利さに感動しています。。。ルナも興味深そうに、Roombaの仕事を見守っています。



Thursday, November 29, 2012

Week 4 - Las Vegas 出張

Autodeskに入社して4週め、Las Vegasで行われたAutodesk Universityというconferenceに参加しました。Conferenceのセッションには残念ながら参加することは出来なかったのですが、3日間様々なリサーチセッションを同僚と共に行いました。

英語で get one's feet wet というイディオムがありますよね。リスクを取って新しいことにトライするという意味ですが、今回の私のLas Vegasでの仕事はまさにそれ。入社2週目に一つのリサーチトピックを任されて、業界、製品、ユーザーの理解が未だ限られているとはいえ、ユーザーリ サーチの土台はあるので何とかなる気はしていました。逆に、思い切ってトライしたおかげで、入社4週めにして既に業界知識をぐんぐん吸収しているのはラッ キー。仕事の内容やテクノロジーの活用法について、ユーザーの話を聞き、彼らの行動を直に観察出来たのはユーザーを理解する上で効率的です。今回はSenior Researcherとして入社しているので、仕事のスピードを上げるまでに時間はかけたくない。そんな訳で、入社、出張、リサーチプロジェクトのタイミ ングはすごくよかったと思っています。

Autodeskでは入社日のオリエンテーションの始めに、会社のギャラリーのツアーが組み込まれています。ギャラリーにはAutodeskのユーザーが作ったもの、そのプロセスが理解出来る展示があります。現在上海で建設中の完成時には世界一となるビルの模型、Nikeのシューズのデザインプロセス、映画Avatarのメイキングビデオ、レゴで作った恐竜などが見られます。入社日にそうした展示を見て、この会社の面白さを実感したのですが、Autodesk University開催中のExhibit hallやユーザーと話をした中で、それを改めて実感しました。

リサーチセッションには日頃直接話をすることの少ない重役達が我々のリサーチに現れることがあります。それから、ユーザーを観察中にCEOに偶然会って、 「入社4週目でAutodesk Universityに来ていて、こんなリサーチしてます」とささっと自己紹介。みんな気さくで我々の仕事に興味を示してくれるのも励みになります。

Conferenceに参加する際のもう一つ重要なことは社内の人とのネットワーキング。特に入社したばかりでこういう機会を利用できるのは幸運です。前の会社はアメリカで初めての会社でネットワーキングがあまり上手くありませんでした。私は外交的な面と内向的な面のハイブリッドで、意識してお友達作りしないと、アメリカでは周りの人には気づいてもらえません。そんな訳で今の会社ではすごく意識してお友達作り。パーティや食事、同じ部屋にいる人の中で話したことのない人がいたら "I haven't met you yet. I am Chika Ando. I am a user researcher, working with Julie."とか言って、どんどん自分から自己紹介。昨夜は、食後に皆でバーに行き、別の部署の人に交わったので、ほとんどが初対面。前の仕事で実は競合他社にいたとか、バイクの話、ブラジルの音楽など、話が盛り上がりました。その中にはイスラエル、インド、スウェーデン、スイスから来ている人もいて、彼らの製品をiPhone上で見せてもらったり。それから日本へ休暇で戻る際に一緒に仕事ができるように、東京オフィスの方ともご縁を作ることも達成。次に日本に戻るのも楽しみです。

ホテルには寝に帰るだけで、朝8時に部屋を出て戻るのが真夜中過ぎというのを3日間続けて、帰りのフライトではぐっすりpower napしました。

Friday, November 23, 2012

Thanksgiving 2012

今年のサンクスギビングの週は、アメリカに来てからの10年間を振り返り、そして新しいことを発想するための1週間でした。一ヶ月程前にのゆりさんが、「サンフランシスコに行こうと思ってるのだけど。。。」とメールを下さったので、「うちに泊まります?」と気軽に誘いました。これはアメリカでは普通のこと。

のゆりさんとは10年前に、私が留学準備中にMITを見学に訪れた際に偶然すれ違って、その時は「あっ日本人だ。。。」と思いつつ挨拶もせず。日本に帰国して、2ヶ月後、縁あって留学先選択のアドバイスを頂くことになり、渋谷で再開したのが2002年の3月。それでMITですれ違っていたことにお互い気付きました。スタンフォード大のLearning Design and Technology プログラムに進学し、卒業して、その後、時々近況報告をメールしていましたが、今回のようにじっくりお話したことはなかったように思います。あっと言う間に10年が過ぎ、この夏に私が北海道を旅行した際に、みらい大を初めて訪れたり、その際、私の翻訳本を使っている授業に偶然参加したりというご縁もありました。

今回、のゆりさんと4日間過ごして、アメリカに来て10年の経験、学びを書き留めなかったのは少し惜しかったと気付かされたので、ブログ再開します。

タイトルの「チームの発想」は、のゆりさんの案です。いろいろ考えると私の今のライフスタイルを上手く表しているように思えます。ユーザーリサーチャーとしての土台を気付いたAdobeの仕事で一番よい思い出はチームの仲間と共有した成功体験、そして現在働いているAutodeskもチームの雰囲気のよさが転職を決める決断になりました。そしてスタンフォードでの体験も、サンフランシスコのダンスコミュニティでの体験もしっくりきます。

サンクスギビングは、自分の生活、友人や家族、あらゆることを振り返り感謝する機会です。今回は、のゆりさんの訪問がきっかけとなり振り返ったこと考えたことは日本とアメリカの文化両方に渡り、友人宅の訪問で新しい出会いもあり、アメリカ10周年に相応しかったように感じます。

まずは、転職活動中に考えたことや、Adobeを去る前の最後の数日間のことや、新しい仕事を初めての3週間について書いていきます。

P.S. Adobeでの仕事で今でも一番の自信になっているのはPremiere Proに関わったこと。以下はユーザーが製品を使ってコメントをしているマーケティング用のビデオですが、これはユーザーの正直なコメント。編集はしているけれど準備された原稿を読んだものではありません。製品を使ったユーザーが"You made my life better."とか言うのを聞くと本当に鳥肌がたちます。ユーザーリサーチャーとしてこれこそ私の履歴書に添付したいと思う。もちろん、この背後には多くのエンジニア等、数えきれない人の仕事があるわけですが、自分の専門を活かし、チームの一員として貢献したことは誇りです。実際に成果が市場に現れるまで2年かかりましたが、そうしたeffortの第一歩を切り開いたのが我ら3人(私とデザイナー、私の上司)の仕事でした。
http://www.adobe.com/products/premiere.html#nerolimedia_split_pp-chilipeppers_708x398-1300.mp4


Wednesday, November 01, 2006

Persuasive goals at web sites

Web 上で個人情報を公開しすぎていませんか?という記事を読んで、2003年頃にBJのラボで行ったアクティビティを思い出しました。

googleの検索対象を入力するフィールドで"www"とタイプすると、ウェブ上でアクセス数の多いウェブサイトランキングが結果として表示されるとのこと。
英語圏のトップ20の中には、yahoo, Amazon, msn等が含まれていました。そうしたウェブサイトには、ウェブサイトを訪れたユーザーがある行動を行うことを狙ってデザインされた要素があります。

例えば、
- 個人の名前、住所等の個人情報を入力させ、アカウントを作成させる
- 「お友達に知らせる」などのリンクがあり、友達のe-mailを入力させる
といったものがある。

各ウェブサイトがユーザーをそうしたtarget behaviorへ仕向けるために、どのようなインターフェイス、画面のレイアウトや手順、言葉遣いをしているかという点についてディスカッションしました。結果は特にまとめなかったので、残念ながら何もお知らせすることはできません。

ともかく、このアクティビティにBJと取り組んでから、個人情報の入力に非常に敏感になったのは確かですが、実際避けて通れない。便利さには変えられず、入力した情報は盗まれてしまっても仕方ないと諦めつつ、自分のアカウント情報の周辺で怪しい変化がないかを監視するようにしています。

Monday, October 30, 2006

もう一年たってしまった。。。

気がつけば、本が出版されてから早いもので一年。書き始めては何度も挫折しているこのブログ、でもまた続けます。:)

最近、非常にPersuasiveだなあと思うのはmixi。私は2004年の初めからのユーザーでしたが、あのコミュニティにはただ属していただけ。それなのについに日記をはじめてしまいました。
その理由は、大学時代からの親友がこの夏にmixiユーザーになり、「友人のみ公開の日記」をはじめたから。読むのは面白いし、だからサイトをまめにチェックするようになってしまい、そしてついコメントもしたくなってしまう。そして友人はまた更に書き続けてくれる。

彼女とは大学の数学科で一緒に卒論を仕上げた間柄で、一緒にc言語でプログラミングをしていました。正直いってあんなに文章の面白い人だとずっと知らなかった。

mixiで日記を書かせてしまうしくみ
「日記を書く」「友達からコメントがある」このループが楽しい。だからまた書く。
カレンダーにいつ日記を書いたがすぐに分かるように表示される>>「しばらく更新してない、何か書こう」と思う。

「友人だけに公開の方が書きやすいな」と思ってつい私もスタート。そしてこちらのパブリックのブログはずっと更新せず。

mixiには、Persuasiveな要素が本当にたくさんあるんです。例えば「足あと」とか。
私はmixiに対しては肯定的な意見も否定的な意見ももっておらず、ユーザーとして楽しんでいるし、「このデザインはPersuasive!」と研究対象としても楽しんでいます。

念のため「Persuasive - 説得」というのは強制とも人をだますのとも違って、ユーザーが自分で理解して行動を変えるための働きかけなのです。