チームの発想

2002年から2003年にかけて、スタンフォード大、Learning Design Technology Programで修士号を取った後に、その時の体験を振り返りながら近況報告をかけて、学んだこと感じたことを共有するためにブログをはじめました。6年間休んだ後、再開です。:)

Saturday, May 21, 2005

全ての体験は学びである

私が LDTプログラムで学び始めてから間もなく、全ての体験を学びとしてみなせる!と気付いた事がありました。その時、なぜ直感的にそう思ったのかは忘れてしまいましたが、別の機会に「あらゆる体験を学びであると見なせる」と改めて思った、「なるほど!」と感じた出来事を紹介します。

ある教授が授業で「Learning、学びを、数式でどのように表せるか?」という質問を投げかけました。
その先生の答えは、
Current Knowlege - Prior Knowledge = Learning

つまり、ある体験を得た自分の現在の知識とその体験をする前の自分の知識に差分があれば、その差分が「学び」であるとのこと。

例えば、スターバックスに初めて入った人がいたとしましょう。
どうやってコーヒーが買えるのかな?と他の人を観察します。メニューのボードを眺めるかも。
他のお客さんを見ていると、どうやら席に座る前に飲み物を購入するようだと思うでしょう。
いざ注文しようとレジの所へ行き、メニューを見る。思い切ってラテを指で指して注文したら、サイズを聞かれてしまいました。ミルクを無脂肪ミルクにするか?普通ので良いか?と聞かれました。さらに、アイスかホットか?とも聞かれました。
無事支払を終えると、どこで飲み物を受け取るかを説明されます。

そして、緊張しながらも無事、トール、ノンファットラテが買えました。この一連の体験は、「スターバックスで飲み物をオーダーする」という「学びの体験」と見なす事が出来ます。注文する前の自分と、注文後の自分の知っている事(知識)には明らかに差分があり、次にスターバックスに行った時には、今回の体験から緊張しないでオーダー出来るでしょう。

さて、「Current Knowlege - Prior Knowledge = Learning」という考えを知った当時は、生まれて初めての海外生活をスタートして3ヶ月が経った頃。日々の生活の中で新鮮な発見がたくさんあった時期です。「なるほど!」と新しい事を知る度に、友達との日常会話から面白い表現を吸収する毎に、「私学んでる!」とわくわくしていました。
学校で習う事、机について勉強する事だけが「学び」ではないと思います。

自分の学び、成長に気付けるというのは、学びが楽しくなる重要な要素。いつ頃から、私が自分の学びを第3者的に意識するようになったのか(メタ認知という視点を手に入れたのか)はよく分かりません。もしかしたら、2002年にLDTに来て以来なのかも。それ以前も学ぶ事への私の欲求、好奇心、intrinsic motivation は基本的に強かったと思うのですが、intrinsic motivationと言う言葉も知らないし、自分の学びを意識していたわけでもない気がします。「学びは楽しい」と本能的に感じていた私は、単に幸運だったのだと思います。

そうしてたまたま幸運にもsuccessful learnerであった私ですが、LDTで「学びとは何か」という理論を紐解き、自分自身に質問を投げかけながら理解、納得して行くのは、自分を題材に実験しているようでもあり、とても楽しい体験でした。

明日は、「未来の学び」をデザインするを読んだ感想のフォローアップ、私のバイク乗り体験について書きたいと思います。

補足:
ここで紹介した「Current Knowlege - Prior Knowledge = Learning」という考えは、この教授の「学び」に対する視点であり、これが絶対的な定義であると考えて紹介しているわけではありませんので念のため。聞く相手によって皆さん違う考えを紹介してくれるので、LDTに入ったばかりの頃、いろいろな教授に「あなたの視点から、学びとは何か?に対する答えを教えて下さい」と質問していた事がありました。

0 Comments:

Post a Comment

<< Home